心のバリアをフリーにしよう。

●バリアフリー旅行の講演会

 

故郷大分の身体障害者福祉センター「あすぴあ」で、
バリアフリー旅行の講演をさせていただきました。

 

「バリアを超えて旅をしよう」と言う演題で、

お体に障害がある方やご家族に向けて
「色々大変なこともあるけれど、

 その先にある感動や勇気はかけがえのないもの。

 勇気を持って、一歩を踏み出しましょう。」

というお話をさせて頂きました。

 

会場の「あすぴあ」は偶然にも私の母校、

大分県立大分商業高校の目の前で、

35年ぶりの風景がとても懐かしかったです。

 

●廣道純さんとの出逢い

 

講演会の後、車イスアスリートで

パラリンピックメダリストの廣道純さんとの

トークショーを設定して頂きました。

廣道さんはシドニーパラリンピック800Mで銀メダル、
アテネパラリンピック800Mで銅メダルを獲得されています。

3部門での日本記録保持者でもあります。

 

廣道さんは私の講演も聞いて下さり、

その流れのまま、トークショーに。

 

廣道さんは

「いい意味で期待を裏切る講演だった。」と冒頭おっしゃいました。

 

障害者の旅を企画しているというと、

「120%善意の塊で、すべてお世話してあげますよ、

何でも手伝いますから安心して旅行に来てください。」

みたいな「善意の塊」的人間が講演をすると思っていたそうです。

 

ところが私は講演会の冒頭、

「福祉も介護も素人ですし、特に興味もありません」

「手伝いません、全盲の方でも一人参加OKで、かつシングルルームに

おひとりで入って頂きます。」

「基本はほったらかしです」

とお話しして、コケそうになったようです。

 

私の「期待を裏切る」講演会を、参加された、お体に障害がある方が

どう受け取られたか判りませんが、一番前でお話を聴かれていた

中年の女性の方は、ずっとハンカチで涙を拭きながら

話を聴いて下さっていました。

 

質疑応答の時、この方はご自身も中途の障害で絶望しながら

前向きになれないのですというお話をされていました。

 

私は「そんなに急いで前向きなんてならなくて良いです。

前向きになんてなれる訳がないです。

ベルテンポのお客さまも絶望から、時間を掛けて

ほんのちょっとずつ、気持ちを落ち着けて、可能性を信じて

一歩ずつ、前に進まれています。」

 

というお答えをさせて頂きました。

 

 

廣道さんとのトークショーはあっという間で

笑ったりうなずいたりしながら、50分が過ぎしまいました。

 

廣道さんも私も話したりず、講演会終了後、
事務室でお弁当を戴きながら、私とふたりトークショー。

 

非公開なので、ますますパワーアップしたきわどい内容で、

お伝えできないのが残念ですが、

印象に残ったお話をふたつ、以下にメモします。

 

●滑るかどうか、決めるのは自分

 

廣道さん、可愛い娘さんがいらっしゃるのですが、

大分県の某遊園地に出かけ、

「マイナス35度の世界」というアトラクションに

娘さんが入りたいと言ったそうです。

 

奥さまは「私、マイナス35度なんて嫌だ」というので

廣道さんが娘さんと行くことになり、チケットを買って

ドアを開けて中に入ったら、後ろからスタッフが

走って追いかけて来て、

 

「危ないから車イスでは入らないでください!」

 

と制止されたそうです。

「え?何が危ないの?」と聴くと、

 

「床がすべります。」と、とにかく車イスでは

入らないでくれと懇願されたそうです。

 

床を見るとカーペットが敷いてあり

とてもすべるようには見えません。

 

廣道さんは

 

「滑るかどうか、決めるのは俺やろ。」

 

と反論したそうですが、許可は出ず、

仕方なく入場を諦めたといいます。

 

日本では良くあることです。

 

危ない、滑る。

 

とするなら、それは車イスでも杖でも、

健常者にも同じリスクがあります。

 

車イスユーザーだけが異常に危険を抱えているのではありません。

 

子供なんて、走ってすぐにでも滑るでしょう。

子供は危なくて入場できないはずです。

 

思い込みと決めつけ。
日本ではバリアはなかなか「フリー」になりません。

 

 

●マニュアルが間違っている

 

もうひとつ、航空会社のこと。

 

廣道さんは年間100回くらいは飛行機に

乗られているそうで、国内海外を飛び回っています。

 

ところが車イスを利用して飛行機に搭乗する際、

日本の国内線と、海外では、扱いが全く異なるのです。

 

これは私も良く経験することですが、

日本の「車イス取扱マニュアル」は

高齢で車イスを使う方でも、

廣道さんのようなアスリートでも

同じマニュアルひとつですので、

現場でおかしなことになります。

 

私は、マニュアル的な扱いが悪いとは思いません。

働く人を責める気もありません。

 

なぜなら、マニュアルそのものが間違っている

ことがほとんどだからです。

 

車イスの利用者が飛行機に乗る際に

考えられるリスクは世界共通です。

 

外国の航空会社では問題にならないことが

日本の航空会社では、

「車椅子が来たー!立てない?階段上れない?わおー、がおー」

と非常事態宣言が出たかのそうな騒ぎになります。

 

思考停止と情熱の不足。

 

日本という国に圧倒的に欠けているものは

情熱の不足。そして思考停止が輪をかけています。

 

 

とは言え、

廣道さんと私で共通の結論がでてスッキリしました。

 

「そうか、日本人はマニュアルに従順なのだから、

マニュアルを変えてしまえば、そのマニュアルに従って

対応をしてくれるだろう。

日本のあちこちに存在する、障害がある方向けの

間違った対応マニュアルを変えていけば良いんだ。」

 

ということになりました。

 

私はニュートラルな立場なので、

航空会社側の言い分も良く理解しているつもりです。

 

その上で、お客さまと航空会社が共にHAPPYになれる

意識変革マニュアルを作っていけたらいいなと思いました。

 

講演会を企画して下さった、大分県障害者福祉センター様、

ご来場いただいた皆さま、そして

廣道さん、ありがとうございました。