パンタグラフ破損で電車から退避 伊勢志摩の旅3日目

 

雨脚が強くなり、早めに名古屋まで出てしまおうと考え、予定より3時間以上早い特急にのり、安心してしまいました。
 

名古屋まであと30分というところで電車がストップしました。四日市駅手前で突然、車内の電気が消え、電車が急停車しました。車内は予備灯だけ。停電しています。

 
車両トラブルのため、運転士が点検中とアナウンスが入りましたが、その後、復旧に時間がかかりそうです。
パンタグラフの不具合とのことですが、パンタグラフは運転士が屋根に登って直せるようなものではありません。
 
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線路上で話し合う近鉄の職員さん

車内を巡回していた運転士に聞いてみると、パンタグラフが破損しているため、恐らく自力走行は無理。
 
四日市駅から救援車を呼んで、牽引するような話です。
 
この時点では、新幹線に乗るために予定を3時間も繰り上げているし、珍しいものを見られるなあ、くらいの気持ちでした。四日市駅まで行けば、一般の電車はいくらでも走っているわけですし。
 
実際には、広範囲な停電で近鉄名古屋線は全滅だったのですが、この時点では知る由もありません。
 
今、考えると、停電しているのだから、救援車も動けるはずはなく、停電が復旧しなければ、身動き出来ないのは明らかです。
 
近鉄は救援を諦めたようで、この場所で乗客を降ろす判断をします。
 
6両に満員の乗客。しかも、私たちを含め、車イスユーザーが3名。
 
最寄駅からは1キロ以上離れた、沿線にはなにもない場所で、暴風雨の中、乗客を降ろし最寄の踏切まで歩かせるのは、近鉄も苦渋の決断だったと思います。
 
代行バスはなかなか来ず、ようやく最初の3台が確保出来たようで、1号車の乗客から順に降ろすとのことだったのですが、通路を占拠していた中国人グループは構わず我先に1号車へ歩き始めます。我が同胞日本人は皆、あぜん。
 
代行バスには100人も乗れなかったみたいで、次のバスを待つのにまた1時間以上待ちました。
 
車内が混乱しないうちに、移動に時間がかかる私たちは、ゆっくりと1号車に移動させて貰うことにしました。お客様、最後の力を振り絞り、一歩一歩、60メートルを移動。
 
その後、雨は更に強くなり、代行バスは来ず。
 
私たちは電車から退避することにしました。
 
電車正面にかけた避難はしごからの退避を試みましたが、足元が悪く、雨で滑るので危険と判断。
運転士にお願いして、横扉から車イスごと降ろして貰う許可を貰いました。
 
本来は線路側には下ろせないのですが、電車から降りないことには次がないので、やむを得ないです。
 
 
正面からの降車を試みるも断念
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非常コックが硬く、扉を開けるのに10分以上。

近鉄職員の方が雨の中、慎重にお客様を降ろしてくださいました。

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足元の悪い中、保線や検車の方が応援に。

ありがとうございます。私服の方は非番の職員さん。ずぶ濡れで傘をさして応援。ありがとうの言葉しかありません。

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足場が悪く、雨で手が滑り、何度も仕切り直しです。100メートル以上ありました。

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ちなみに停車した場所はこのあたりです。

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代行バスもタクシーもなく、屋根もないので、踏切近くの工場に、雨宿りをお願いしたら、快諾して下さいました。軒を借りようとしたら、建物の中に入れてくださり、タオルをたくさん持って来て頂きました。ずぶ濡れでしたが三重の人の優しさに触れて温かな気持ちになりました。

 
乗客の降車はまだまだ続きます。
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代行バスが着き、お客様はようやく移動手段を確保。

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路線バスも緊急出動。

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私たちはバスに揺られていては、今日中に帰れない恐れがあるので、タクシーで名古屋までワープしたいのですが、近鉄さんに依頼しているタクシーは3時間経過しても現れません。
 
近鉄もJRも付近の電車は止まっていて、タクシーは出払っているらしいのです。
 
私は頭の中で、ぐるぐるシミュレーションして、勝川在住の経営者仲間に電話しました。
 
彼はすぐさま、名古屋の知り合いのタクシードライバーさんを迎えに行かせるか、四日市の知り合いに依頼するか。すぐに動きます!と一旦電話を切り、5分と経たずに、
 
「高萩さーん、タクシー1台手配しました。15分くらいで迎えに行けるそうです。」
 
と折り返しがありました。
 
3時間待っても来なかったタクシーが、マジックで現れました。
 
「高萩さーん、四日市の夜の帝王に頼みましたー」
 
ありがたく、お客様共々、心から感謝しました。
 
 
現場を離れる際、お客様が近鉄の職員さんに、
「お世話になりました。」とお礼をおっしゃっていたのが印象的でした。
 
こう言った現場で声を荒げる人もいますし、気持ちも分かりますが、ずぶ濡れの職員さんにお礼の気持ちを伝えてタクシーに乗り込みました。
 
四日市から名古屋駅までは50キロほど。
ドライバーさんが、
「すごく急いでいますか?」と聞くので、
どちらにせよ、予約した新幹線には間に合わないので、安全運転をお願いしました。
 
新幹線さえ動いていれば、今日中に帰宅できるのは確実です。今、名古屋駅が視界に入っただけで幸せです。
 
土砂降りの名古屋駅で、カオスなみどりの窓口の長蛇の列に並び、乗り遅れて無効になった特急券を後ろの列車に振り替えて貰いました。
 
車イス席の変更はややこしいのですが、みどりの窓口の若い職員さんは、淡々と再手配してくれました。
 
 
お客様にはお弁当を調達して貰い、予定より2時間遅れの新幹線に無事に乗ることが出来ました。
 
自然災害など、不測の事態が起きた際、感情的になることには何の意味もなく、しかし、現場は混乱していますから、ただ待つだけでは課題は解決しません。
 
今回は、たまたまお客様が最小人数でしたが、車イスユーザーさんが3名いらしたら、身動き出来なかったかも知れません。
 
ミラクルでタクシーが魔法のように現れましたが、このマジックがなければ、名古屋にはたどり着けなかったでしょう。
 
多くの方の助けを借りて、無事に旅を終えることが出来ました。
 
大変ご心配をおかけしました。
最後までお読み頂きありがとうございました。
 
心からの感謝を込めて。
 
2017.10.23.