イタリア 石畳と車椅子… バリアだらけの心のバリアフリー旅行

 
 
こんにちは、ベルテンポの高萩です。ベルテンポで、車椅子おひとり旅。(お客さま1名+添乗員1名+現地ガイド1名)のプライベートツアーをお手伝いさせて頂きました。
 
旅を楽しまれた仙台在住の長谷川様から旅のレポートをお送り頂きました。
 
ミラノ、フィレンツェ、ローマとバリアフリーにはほど遠い場所ですが、そこは国際観光都市。イタリア人の陽気な心と心底温かな真のホスピタリティで、楽しい旅になったとのご報告です。
 
決して楽な旅ではありませんが、大変さを乗り越えてイタリアを旅する価値はあります。
旅を計画中の皆さまの参考になれば幸いです。
 
 
車椅子でのイタリアはとても大変だった
 
 
毎日ふとカレンダーを見ながらイタリアから帰って何日経ったかを数えるようになった。
慌ただしく過ぎたGW中も、きょうも…
車椅子でのイタリアはとても大変だった。道路事情の悪さ、その一点だけ。
石畳みのおしゃれな小径も狭い歩道も車道もでこぼこで、車椅子の前輪が溝や段差に引っかかり、前のめりになる。
道路を見ても傾斜が予測できない、片方の腕だけが疲れる、車道と歩道の段差は10cm以上あり一人では降りることも上がることもできない。タクシーも車高が高くて一人で乗れない、時間がかかる。(リフト付きもあったが)
つまり、私は (仮に英語、イタリア語が堪能だとしても) 一人でイタリアへ行くことはできないなぁ~と確信した旅だった。
 
でも、そうは言いながら家族?、友人?、添乗員(高萩さん?)、誰か車椅子を押してくれる人と一緒に絶対また行こうと思っている。
だって、ただ歩いているだけで格好いい若者!
私を見て歩道を降りてくれた家族、
風で傾いた看板をさり気なく直す食事中の彼。
山盛りのジェラートを注文するシスター、
全てがスマートでいい感じ!
 
あの街並みも、巨大ピザも、大聖堂も、ジェラートも、ワインも、美術館も絶対もう一度行きたい。
そう思うイタリアだった。(もちろんいい事ばかりではない。道端にしゃがみ込むジプシー、物乞いらしき老人もいた、スリもそこら中にいるそうだ)
 
天に真っ直ぐ突き刺さる塔
 
初日のミラノの大聖堂、18年前と変わらない姿に思わずため息。
天に真っ直ぐ突き刺さる塔の細くて美しいこと。
 
 
大聖堂の中のステンドグラスを見上げてため息をつき、小銭を入れてキャンドルを灯して来た。
(余談だが、関野さんが大聖堂の入場券を買いに行ってる間にはぐれてしまい、連れ去り?と勘違いし日本にいる高萩さんに連絡をしたそうだ。高萩さんの返事は「頭に旗を立てて待ってればそのうち戻る」だったとか。その後常に関野さんの視界にいるようにした。関野さんごめんなさい!)
 
フィレンツェの街はどこを撮っても絵葉書だ、美術館はガイドさんが丁寧に熱っぽく説明をしてくれた。教科書で見慣れた絵も彫刻も、本物を見てわかったその大きさ。天井も壁も床も言葉に尽くせない。
 
 
 
 
長くフィレンツェに住み、苦労されてガイドになった方、フィレンツェと家族への愛情を感じた。フィレンツェの人はフィレンツェが大好きで、どんなに通勤時間が長くても引越しなんて微塵も考えないとのこと。だからこの街の道はでこぼこで女性はハイヒールを履けなくても、コンクリート舗装はされないのだろうと思った。
3年前に結婚した末娘がハネムーンで来たフィレンツェのある風景。工事中だったから同じ場所の写真を撮って来て、と頼まれた。同じ場所に立ち、写真を送った時の不思議な感動。ここに娘達がいて…、今は私がいる。こんな旅の楽しさは初めてだった。
 
 
 
 
 
 
関野さんが連れて行ってくれた小さなお店、ビスコッティやパスタ、チーズ、ドライトマトを買った。たまたま見つけた洒落たお店で二人で洋服を選び、私は言いたい放題アドバイス⁇の連発…試着する関野さん、そして二人でお買い上げ!🎶
フィレンツェの夕食は関野さんお薦めのお店ダ・リーに3日連続して行った!赤ワインはあまり好きじゃなかったけど、このお店の赤ワインはお手頃価格なのにとてもおいしかった!(このお店の、と言うかイタリアの赤ワインはどこのお店もおいしかった!)
 
 
移動は電車、サポート体制も良く快適
 
ミラノ→フィレンツェ、フィレンツェ→ローマの移動は電車、サポート体制も良く快適。
ローマの街はホテル周辺の道路は比較的平らで、歩道も広く、フィレンツェより楽…また関野さんと散策して家庭雑貨店とスーパーに入る。雑貨は見てるだけで楽しい!ローマ3泊の間に2回行ってポットを買った。私が買ったら関野さんも色違いをget!どうして買い物って相方が買うとほしくなるのか…不思議な女心?
スーパーは安くて面白い!イタリアビール、クッキー、トマトケチャップ、マヨネーズ、チョコレート、パスタ、スープ、旅先の財布は緩みっぱなし!スーツケースは日毎に重量制限に近づく。
 
翌日の観光は楽しみにしていたコロンナ宮殿、が、楽だったはずの道は観光地に近づくほど凸凹で段差も増える。結局フィレンツェと同じだ。
観光地だからなお手を加えないのだろうと思うが、車椅子では目線は常に下向き。もっと街並みや空を見たいがそれは叶わない。目線を上げれば間違いなく膝のバッグを落とし、その上に私が落ちる…はず。
とうとう関野さんに、後ろ向きで車椅子を引っ張ってもらうことにした。それなら前輪は引っかからない。慣れない車椅子を押したり引いたり、本当にありがたかった。
 
 
 
難儀してたどり着いた?コロンナ宮殿は呼吸ができないくらい素晴らしかった。コロンナ一族が財力誇示のため、お金に糸目をつけずに集めた(作らせた)無数の芸術品。
 
 
豆を食べる男   (アンニーバレ・カラッチ)   有名だそうだ…
 
 
ローマの休日の最後のシーンになった大広間でそのシーンを再現し、
「王女様、一番印象的だったのは?」「 ローマ!」まるで幼稚園児…
同じ場所に立ててうれしいが、やりたい事が浮かばず映画の真似しかできないなんて…
庭で出会ったスマートな方、保護犬を引き取り、名前はメイ(アニメのトトロから名付けたそう)
コロンナ一族の関係者とか。こんな出会いもできた旅♡
 
 
土曜日午前中のみ入場可、ずいぶん混雑してたがスロープあり、エレベーターあり、トイレもきれいでスタッフは親切、なんの不便もなく存分に見る事ができた。
 
午後はコロッセオ
なんのために造られたのか、どんな使い方をされたのか、ガイドさんの丁寧な説明を聞き、権力の凄まじさと人間の残酷さを知り、鳥肌が立つ。人も動物も、どれだけの数ここで血を流したのだろう。
エレベーターで上に上がり周回しながらその舞台を見下ろし、建造物としての壮大な素晴らしさと、人の残酷な欲求、なんと言うべきか…
 
 
翌日はバチカン宮殿、惚けたように見上げた荘厳な大聖堂。十字を切り、手を合わせてから入る人、無言でマリア像を見入る人、肩を寄せ合い静かに涙する人。ここには世界中のキリスト教徒がやって来る。
手が届かない私に聖水をかけてくれた知らない国の女性。
 
 
 
 
この日はローマ法皇様がいらっしゃるので、広場でお説教を直接拝聴する幸運に恵まれた。
お姿が見えた瞬間、広場は地鳴りとも思えるどよめきに包まれ、お説教が始まると静寂に変わる。ふと皇居の一般参賀を思い出した。こんな場面で私は日本人、と再認識。
左から2番目の窓にお出ましになった。
 
素敵な花屋さんで朝から花を買うご夫婦
イタリア最後の日、朝食後はホテル周辺を散歩した。川沿いの小さな公園、橋、青空、目的もなく散歩する旅の余裕と贅沢。
こんな素敵な花屋さんで朝から花を買うご夫婦。
イタリアらしい旅の締くくりだった。
 
 
 
フィレンツェ、ローマ両方のガイドさんに聞いた事。
フィレンツェのウフィッツィ美術館で案内する絵はボッティチェリの「ビーナスの誕生」と「春」の2枚、見学者をかき分けハイスピードでその2枚を説明する。
ローマではコロッセオの前で写真を撮り、そこで説明をして終わり、その時間約10分、すぐにバスに乗って移動。
それが日本人ツアー。限られた日程で、できるだけ多くを望むツアーだからそれはそれでいいと思う。でも今回の旅でタイトルも知らない絵や彫刻、壁画、天井画をたくさん見た。熱く語っていただいた二人のガイドさん。今はもうその解説もあまり覚えていない。でも今後イタリア、ボッティチェリ、コロッセオ、などと聞くだけでお二人がそれは楽しそうに、家族の自慢話をするように話してくれた瞬間をきっと思い出す。
 
関野さん、マンツーマンでのんびりした贅沢この上ない旅と、慣れない車椅子のサポートをありがとうございました。
高萩さん、大類さん、わがまま旅の提案と企画をありがとうございました。
 
長谷川
 
2017年4月 ミラノ・フィレンツェ・ローマ 
 
 
ベルテンポ・トラベル 代表高萩からの補足
 
長谷川様は立位が取れないお客さまですので、街中の車イスの移動は困難を極めました。
チャレンジャーなお客さまでいらっしゃいましたので、困難も楽しみに変えて下さいましたが、一般的には安全側に判断して、リフト付きタクシーなどを予めチャーターされることをお勧めします。イタリアの専門旅行社さんにリクエストされると良いと思います。
 
杖などを使い、歩行が大丈夫な方はタクシーを上手に利用して、歩行距離を短くし、行程に予定を持たせることが肝心ですが、それでも石畳は大変です。無理をせず、見るべきポイントを絞って観光しましょう。一般の詰込み型ツアーの半分でも忙しいと感じます。
 
連泊は当然のこととして、移動を極力少なくしましょう。短い日程で3都市、4都市巡りなどと駆け回る旅はNG.
欲張らない方が良いです。
 
★バリアフリールーム
 
イタリアは国際観光都市ですので、小規模ホテルでない限りはバリアフリールームがあります。ただ、使い勝手はさまざまですのであまり過大な期待はされないように。
 
★移動
 
長谷川さんのリポートにもありましたが、都市間移動は鉄道がおススメです。車イスでの乗車がしくみ化されていますし、駅員さんが若く、イケメンで親切です。イタリアを感じることが出来る場面です。
 
★バス、タクシー
 
リフトの観光バスもあるようですが(当社では手配実績なし)、大型のバスは旧市街には入れませんので、バスを降りてからが大変です。イタリアのバリアフリー旅行は少人数が鉄則です。リフトタクシーも見かけますが、台数が少ないのでホテルなどで予約をして貰うと良いでしょう。
 
一般のタクシーを利用できる方であれば、街中での移動のアクセスは格段に良くなります。ただ、石畳はそこらじゅうにあります。
 
★美術館
 
国際観光都市で世界中から障害がある方が観光に来ます。それぞれの美術館が対応方法を確立しています。

★バチカン

最大のバリアは「混雑」です。時間には相当な、あり得ないくらいのゆとりを持ってお出かけください。

 
★レストラン、カフェ
 
日本のように車椅子云々が問題になることはありません。入りたいと思っているお客さまを拒絶するような発想はイタリア人にはありません。必ず何とかしてくれますので、長谷川さんのように、味の評判とイケメンスタッフがいるかで決定されることをお勧めします。だってイタリアなんですから。
 

※一般の募集型イタリアツアー

これは正直に申し上げますが、新聞や旅行代理店の店頭で販売されている、一般的な「イタリアツアー」に、お足元が悪い方や車椅子の方が参加されることは、強くお勧めしません。忙しすぎるからです。
一週間でイタリアを周遊するのでは、健常者の方でもクタクタになるような強行日程です。また、一般のツアーは大型バスを使いますので、駐車場から旧市街の観光地までは相当長い距離を歩きます。

 
お足元が悪いお客さまがイタリアへの旅を希望される際は、旅費は高くなってしまいますが、プライベートツアーを計画されたほうが、お体に負担なく、旅をお楽しみ頂けるかと思います。
 
 
イタリアは設備のバリアフリー後進国、心のバリアフリー先進国
イタリアはバリアフリー旅行の行先としては、正直に申し上げて「上級編」です。生半可な気持ちで行くと旅が楽しめません。思い通りに行かないことがあったり、スリに遭遇してしまっても、「それもまたイタリア」と思えない方は、障害の有無にかかわらず、イタリアには行かれないほうが良いと思います。イタリアは素晴らしい国ですが、日本の価値観はほとんど通用しません。

 
郷に入っては郷に従えという言葉があります。
英語では、

when in Rome, do as the Romans do

 
という言葉があります。ローマではローマ人のするとおりにせよ、という意味です。
このことわざを胸に旅をして下されば、必ず良い旅になります。
 
※どこに頼めば良いの?
★添乗員はいらないので、現地だけ手配して欲しいとお考えの方

パーパスジャパンさんが、バリアフリー旅行のノウハウをお持ちです。現地ガイド、専用車、ホテルなどを包括して依頼出来ます。

 
 
★家族や友人同士の少人数の旅についてきて欲しいとお考えの方
長谷川さんのように、少人数に私どものスタッフ(多くの場合、ベルテンポ代表・高萩)が同行する形で良ければ、包括的に旅のご相談を承ることができます。当社は「ホテルだけ」「専用車だけ」「現地だけ」の手配はお受けしておりません。バリアフリー旅行の場合、現地でさまざまなトラブルが起こる可能性もあり、現地調整役としての旅程管理者=添乗員は必須だと考えているからです。
 
当社(ベルテンポ・トラベル)に旅の相談を希望される場合は、メールフォームよりお問合せ下さい。

 

 
 
2017年8月21日 文責:ベルテンポ・トラベル・アンドコンサルタンツ 高萩徳宗