スイスは杖や車イスを使う旅人にも優しい、本当のバリアフリー観光立国

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公私混同疑惑や高額出張で辞任に追い込まれた某元知事は、スイスを視察して、「2020年の東京パラリンピックまでに日本の交通インフラをスイス並にする!」と大ぼらを吹けば、たとえファーストクラスで出張に行っても後ろ指を刺されなかったのに、と残念に思うほど、スイスの交通インフラは合理的なバリアフリーがしくみとして整っています。

日本ではエレベーターの整備が進んできたとは言え、駅員さんに気兼ねしたり、早目に駅に来いと上から目線で言われたり、まだまだ「一般の旅行客と同じように」とは行きません。

私(ベルテンポ・トラベル代表・高萩徳宗)は、仕事柄、障害がある方やご病気などで車椅子を使って旅をする方国内、海外あちこち旅行をしますが、「これぞ、観光立国!」と感服するバリアフリー的サービスをスイスではたくさん体験することができるのです。

その一部ではありますが、旅行業を生業とする私が「良くできているなあ」と感じるポイントを鉄道を中心にご紹介します。

チューリッヒ空港からチューリッヒ空港駅

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成田からのスイスエアラインズはEゲートに着きます。メインターミナルへはシャトルでの移動です。

 

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明るい空港ターミナル。垂直移動はすべてエレベーターです。

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無人のシャトル。段差はありません。ガランとしています。イスが少々。

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車イスを飛行機を降りてすぐのところで受け取れるように依頼していたのですが、手違いでターンテーブルに来ていました。まあ、良くあることです。 車イスの捜索に少し時間がかかりました。 車イスはターンテーブルからは出てきません。オーバーサイズドという、別の場所から出て来ますので注意。

 

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ターミナルを出ると正面に駅の入り口があります。

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エレベータをひとつ降りるとチケット売り場、もうひとつ下の階はもうホームです。 ヨーロッパの駅には改札口はありません。チケットがなくても乗れてしまいますが、検札が頻繁に来ますので、必ず購入してから乗りましょう。

 

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女性車掌さん、とても親切ですが、チケットを持っていないと、突然鬼の形相に代わります。 ドイツ語でまくし立てられたらおしまいです。 ちなみに、鉄道には障害者割引という運賃体系はありません。スイスパスを買うか、ハーフプライスカードを購入するかなど、どの程度鉄道に乗るかでご判断ください。

 

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2階建ての電車が多いのですが、1階は段差なくアクセスできます。

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スロープなどをかけなくても、完全にフラットなのはストレスフリーでいいですね。 車イスマークは、ほぼすべての車両についています。マークのないところも、広々しているので乗れちゃいますが。

 

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場面は変わり、サンモリッツからベルニナ特急でティラノです。

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ティラノ駅。ベルニナ特急の終着駅です。

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ティラノ駅前。石畳はちょっと大変です。

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自転車専用車量。車内は20台くらい自転車を立てかけるフックとスペースがあり、折りたたみイスがついています。

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サンモリッツの高低差を解消する長いエスカレーター。エレベーターもあります。

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ホテルシュバイツァーホフから徒歩5分ほどのところにあるエスカレーター、エレベーター乗り場。サンモリッツ駅へ直結です。

【スイス国鉄名物、手動リフト】

そうは言っても、ホームがそもそもない駅、低い駅。旧型客車も来ます。これらは床が高いのでそのままでは乗り込めません。

これはツェルマット駅。旧型客車はごらんのとおり、ステップが数段あります。まだ、このタイプの車両もたくさん走っています。

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車イスマークの上の熊のマークは「プレイルーム」子供の遊び場がある車両です。

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写真はルツェルン駅です。ちょうどスイス人の電動車椅子を使う女性が下車して来ました。 黄色い箱は手動リフトで、駅員さんが操作します。

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リフトは手動です。手でくるくる回して上下させます。

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この優れもののリフト。スイスの駅、どこにでも設置されています。事前のリクエストが基本だそうですが、その場でも結構臨機応変に対応してくれます。

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氷河特急も床が高い車両なので、リフトで乗降することになります。

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【駅構内】大雑把に3つのパターンに集約されます。

チューリッヒ空港駅のように、地下にホームがあるパターン。
エレベーターでホームにアクセスします。乗降客も多いので結構混雑します。
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ルツェルン駅やツェルマット駅のように、昔の上野駅のような櫛形ホームのパターン
昔懐かしい、このスタイル。大好きです。段差なくホーム間の乗り換えも容易です。

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インターラーケンオスト駅やサンモリッツ駅のように地下道でホーム間を乗り換えるパターン

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この写真は地下通路側からホームを見上げています。
日本だと連絡通路へのアクセスは、階段、エスカレーター、エレベーターですが、スイスの場合、メインの動線は「スロープ」なのです。

つまり、ホームを降りて、スロープで地下通路へ向かい、乗り換えホームはスロープを上がる。

ちょっと坂が急なのですが、この動線は車イスを使う乗客はもちろんのこと、杖のお年寄り、ベビーバギー、スーツケース、自転車、すべてが同じ動線なのです。

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こちらがホームに上がって来たところです。

日本では小さなエレベーターが混み合っていたり、ホームの端にあったり、点検でエレベーターが止まっていたり!洒落にならないことも多いですが、すべての乗客が同じ動線というのが、私はすごいと思いました。

これが真のユニバーサルデザインであり、観光立国の姿です。
メンテナンスのコストもかからないですし、日本の駅や空港も、もっとスロープを活用すればいいのにと思います。

セントレア空港は良くできていますよね。関空は垂直移動の動線は最悪ですが…。

日本の議員さんは、2020年パラリンピックまでにスイスの交通システムを視察して
「うわー、日本は無理だなあ」と思わず「どうしたら、出来るか」を考えて欲しいです。

出来ないはずはないです、やる意思があるかないか。スペースの制約はあります。
でも、どうしたら、同じようなことが出来るか、つまり、車イスを特別なものと考えずに
ベビーカーや大きな荷物、杖歩行の人と同じ動線で考える発想が欲しいということです。

日本の福祉は、なんでも別枠で考えすぎなんです。

スイスの旧式の荷物車両なんて、車体に大きく、

自転車!
ベビーカー!
車イス!

って、車輪系は全部ひっくるめて乗せちまえ、みたいな大胆な発想で、イスのない車両を
連結したりしていました。こういうの、いいですよね。

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日本の交通システムにストレスを感じている、車イスユーザーの皆さん。
チャンスがあれば、ぜひスイスの鉄道システムを体験してみてください。

ストレスフリーとはこういうことだ!と体感できます。
少なくとも、日本のような慇懃無礼な特別扱いを受けることはありません。
余計な愛想笑いもありませんし、無駄なオプションはありません。

普通に、誰もが同じように電車にアクセスする。
ただ、それだけです。

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